サポーターたより

あきよしより愛を込めて

八王子ダルク開設当時、4年間スタッフをしていた山﨑です。今は、東京ダルクで働いています。元々、責任者の加藤とは東京ダルクで入寮が一緒でした。同い年ですから、お互い29歳の時です。行くところもなくたどり着いたダルクでしたが、お酒が止まらず、どうしようもなかったです。アルコール薬物の施設対抗ソフトボール大会で、東京ダルクが優勝しその祝杯ということで自分がビールを買い、加藤がつまみを買って一緒に飲んだのが始まりで、お酒が止まらなくなってしまいました(笑)。お金がなくなれば加藤の貯めた小銭をくすねて飲んでいました。最初の出会いはこんな感じでした。

ある日酔っ払ってしまい施設を出されてしまいました。壁をよじ登って2階の台所の窓から忍び込もうとしたら加藤に見つかってしまい鍵をかけられてしまいました(笑)。救急車が来たりパトカーが来たり、仲間たちにしてみれば大変な一日だったと思います。次の日、茨城ダルクに移動することになってしまいました。そこで、いろいろありましたが、お酒を止めることが出来ました。スタッフ研修ということで名古屋ダルクに行くこととなり、名古屋に行ったら、また加藤と出会うわけです(笑)。二人だけの入寮生活です。短い間でしたが、飲まない姿を見せることが出来ました。加藤が東京に帰ってしまい、しばらくして自分はまた飲んでしまい、茨城に戻りました。けれども施設に居づらくなり寮を飛び出し東京に戻り精神病院に入院して、みのわマックに通っていましたが、また飲んで暴れ病院には居られなくなり、沖縄ダルクに行くことになった時も加藤のアパートに一泊させてもらい羽田に向かいました。加藤の寝ている横で処方薬をぼりぼりと、かじっていたのを思い出します。

沖縄も1年ほどで飛び出し、東京に戻り精神病院に入院を経てアパートを契約したと同時に飲んでしまい、2ヶ月ほど止まらず苦しみましたが、なんとか止まったあとに加藤が立ち上げた自助グループに入り、会場を開けたりしながらクリーンを続けることが出来ましたが、クリーン4年くらいの時に自助グループを離れてしまいました。仕事をしながらなんとか生活していましたが、今度はギャンブルにはまり、結局お酒を飲んでしまいました。3年間は飲みながら頑張りましたが、仕事を辞めた途端、朝から飲むようになり東京を追われるように奈良ダルクに入寮することになりました。その時も加藤が自分のアパートの後片付けをしてくれました。こうして過去を振り返り、書いてみると加藤には世話になりっぱなしです。

奈良には1年8ヶ月いました。こんなに長く施設に居れたのは初めてでした。奈良ではいろんなプログラムを受けましたが、その中で自分にとっていい影響を与えてくれたのがエンカウンターグループです。その時に出会ったのが現国立精神神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部研究員の引土さんです。東京に戻る決心をしたのは、加藤が八王子にダルクを立ち上げると聞いたからです。東京に帰るいい理由ができたのもありますけど(笑)。今まで迷惑をかけてきたことを八王子ダルクを手伝うことで、何か返していきたいと思いました。東京に戻ったのは東日本大震災の2週間後でした。計画停電で街中が暗くコンビニは品薄でした。そんな中、平成23年4月15日に加藤と自分とハッピーの3人で八王子ダルクに引っ越しました。期待と不安の中、八王子ダルクでの生活が始まりました。また飲んでしまうかもという不安もありましたが、奈良でやってきたプログラムが支えになったと思います。そして東京で引土さんと再会することが出来ました。また奈良と同じように今度は八王子ダルクで引土さんとエンカウンターグループが出来るようになりました。加藤ともよく言い合いになりました。そんな時グループを開いたりしながら、加藤の気持ちを聞くことだったり、自分の問題をグループを通して解決してきたと思います。

ダルクのプログラムの中で無償の愛を貰ってきましたが、それを返したいと思いながらもその愛をなかなか感じることが出来ませんでした。それは自分自身が心を閉ざしていたからです。でも、八王子での4年間は、その愛を感じられたからこそ手伝うことが出来たんだと思います。八王子ダルクには愛があります。そして、少しは加藤に、仲間にその愛を返せたかと思います。今、東京ダルクで働いているのも、ほんとうにありがたいことです。加藤と出会って20年が過ぎ、いろんなことがあり過ぎましたが(笑)。これからは、おっさん同士楽しんで行きたいと思います。

回復に時間がかかる人もいます。再使用してしまう時もあります。でも、加藤がそこに居続けてくれたように、仲間はいつもそこにいます。薬物で苦しんでいるのなら、ダルクに一度、来て見てください。そして、社会の中で偏見のないよう、回復できる病気なんだということをご理解して頂きたいと思います。

東京ダルク 山﨑 明義

掲載日:2018年10月6日