家族・パートナー・友人の方 一緒に考えませんか

一日も早く外に助けを求めましょう!

ご家族の方は、これまで薬物問題を解決するために多くの努力をしてこられたことと思います。本人を叱りつけたり、説教をしたりして、なんとか薬物使用をやめさせようとしたかもしれません。また、薬物依存症の治療機関に行くよう一生懸命本人を説得したこともあるかもしれません。そういった努力が功を奏して早々に薬物問題が解決すればよいのですが、なかなかそうはいかず、家族としてはできる限りのことをしているのに薬物問題は少しずつ深刻化していくばかりで、これ以上どうしたらよいかわからないと途方にくれてしまう場合がとても多いのです。薬物問題を解決することが難しい理由は、決して家族が悪いからではありません。家族の力だけではどうにも解決が難しい、それが薬物問題なのです。ですから薬物問題に気づいたら一日も早く、外部にサポートを求めることをお勧めします。

薬物問題に悩む家族が受けられるサポートは大きく2つに分けることができます。ひとつは専門機関で、代表的な機関としては、精神科病院、精神保健福祉センターなどがあります。精神科病院については、依存症の専門的治療を行っていない場合は思うような支援が受けられないこともありますので、必ず事前にホームページなどで情報を確認するようにしましょう。精神保健福祉センターは、メンタルヘルスに関する行政機関です。個別相談だけでなく、家族教室も開催している機関が多いので、依存症に関する知識や情報を得ることにも役立つでしょう。

ふたつめは自助活動で、薬物問題を抱えた当事者家族が主になって活動を行っています。代表的な活動としては、ナラノンやダルク家族会などがあります。ナラノンは世界中に存在する自助グループで、12ステップ・プログラムという方法を用いて薬物問題に悩む家族自身の回復を支える活動をしています。ダルク家族会は、主に薬物依存症者本人を対象とした回復施設であるダルクと連携しながら活動する自助組織です。専門家を招いて勉強会を開催したり、当事者家族がそれぞれの経験を語るミーティングを行ったり、家族相談を行ったりしています。

専門機関と自助活動のどちらが良いということはありません。相性もあると思いますので、まずは身近なところから足を運んでみて、自分にしっくりする場所を見つけ出せるとよいでしょう。警察に通報されるのではないかという心配は不要です。専門機関の職員はみな守秘義務を負って相談支援を行っていますし、自助活動のメンバーはみな同じ体験を持つ仲間です。勇気を出して助けを求めたのに、満足できるような対応をしてもらえなかったということもあるかもしれませんが、あきらめないでまた別の場所を探してください。薬物問題の解決は家族の力だけでは非常に難しいのです。まずは家族が外に助けを求めること、それが問題解決につながる大きな一歩です。

国立精神・神経医療研究センター 近藤あゆみ

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